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富士康“引っこ抜き”で求人難
(以下引用)
電子機器受託生産(EMS)では世界最大手の富士康(フォックスコン)の鄭州(河南省)工場が技術職4000人、一般労働者2万人の求人を行ったことで、 周辺地域で深刻な求人難が発生した。中国では、同問題について「背景に、給与水準がこれまで低すぎたという問題がある」との論調が目立ち始めた。新華社系 ニュースサイトの新華網などが報じた。
富士康は台湾企業である鴻海精密工業のブランド名。生産拠点は主に中国大陸部だ。
同社鄭州工場が提示した給与(月額)は職種などによって異なるが2000-3600元(約2万4700-3万7000日本円)だった。同市内にある即席 麺(めん)工場の経営者によると、1月23日の春節(旧正月)の連休明けに就業するはずだった30人以上が採用を辞退した。
富士康の「引っこ抜き」により、近隣地域の多くの企業が従業員を確保するために給与を引き上げざるをえない状態になったという。
富士康も一企業であるからには、「高額報酬による人材確保」には自社の利益を拡大する狙いがあるはずだ。一方、工場労働者の多くは、農村の戸籍保持者で ありながら都市部に出て現金収入を得る「農民工」であり、これまでも「農民工」の給与水準の低さを指摘する声は珍しくなかった。
中国が1990年ごろから急速な経済成長を遂げることができたのは、「巨大人口のおかげ」とする言い方がある。農村部などからの、無尽蔵と考えてよい労 働力の供給だ。最近になり各地で求人難が発生したことで、「巨大人口にはもう頼れない」との主張も出始めた。企業側と労働者側の要求の差が大きくなり求人 難が発生したとの分析もある。
いずれにせよ、農民工の給与水準が長期にわたって低すぎたことが、現在の求人難の重要な原因のひとつであることは間違いない。
中国は2011-2015年の第12次5カ年計画で、全国各地の最低賃金を年率で13%以上引き上げることを決めた。指示通りに実行されれば、同計画終了時の賃金は、開始時にくらべて5割以上引き上げられることになる。
賃金引き上げの動きに、特に大きな「圧力」を感じているのは輸出型企業だ。国際的な景気の後退や為替レート変動の問題があるだけに、少しでも人件費を圧 縮したいという考えが強い。しかし広東省労働学会の羅明忠副会長など一部の専門家は「多くの場合、労働コストの製品価格に占める割合はすでに、企業の生存 に本質影響を与えるほど大きな要素ではない」と主張した。
羅副会長は「(中国企業が)これまで続いてきた低すぎる労働力コストが今後も続くことを期待するのは現実的でない」と指摘し、「企業は経済・社会の発展 に応じてさまざまな調整をせねばならない。(給与水準の向上は)企業にレベルアップや経営戦略、生産構造の調整、市場戦略の転換を迫るよい機会になる」と 主張した。
富士康は(EMS)で世界最大手だが、利益率は高くない。他の業種と比べれば、利益率の低さはなおさら鮮明だ。しかし、他の企業に率先して、「厚遇によ る労働力確保」を断行したことは、企業の利益を十分に計算した上の「理性的行動」といえる。利益率について同社は「これまでと比べて、若干低下するだけ だ」と判断し、会社の利益全体を考慮した上で労働力の確保を優先したと考えてよい。